Power BIでグラフを作っていると、「目標値のラインを入れたい」「特定の日付に縦線を引きたい」と思うことはありませんか?
実は、Power BIでは「定数線」や「縦線」を簡単に追加でき、さらに動的設定をすればより柔軟にコントロールすることも可能です。
この記事では、初心者でもわかるように定数線・縦線の追加方法から動的設定・変数の使い方までをステップごとに解説します。
定数線(横線)の追加方法
まずは基本の定数線(横線)の追加方法を解説します。
定数線(横線)はグラフを値の良し悪しを判断するための目標値や基準値などを示すのによく使われます。
説明例として、以下の売上データを使って目標値1000000の定数線を追加した折れ線グラフを作成します
| 日付 | 売上 |
| 2025/4/1 | 850000 |
| 2025/5/1 | 920000 |
| 2025/6/1 | 1100000 |
| 2025/7/1 | 980000 |
| 2025/8/1 | 1250000 |
| 2025/9/1 | 1150000 |
まず日付データと売上データを用いて折れ線グラフを作成します。

次に分析タブを開き、「Y軸の定数線」の中にある「行の追加」を選択します。

次に定数の線を設定します。ここでは目標値の1000000を入力します。

その他にも定数の線の色やスタイルなど様々なものが設定可能です。色々と試してみてください。
- 色:定数線の色
- スタイル:実線や破線など
- 位置:グラフの背面側か前面側か
- 網掛け:定数線の上側や下側を色付けするか
- ラベル:定数線にラベルを追加するか
以上で定数線の追加は完了です。
平均値線・最大値線・最小値線・中央値線の追加
PowerBIでは定数線の追加以外にも平均値線・最大値線・最小値線・中央値線・百分位線のなどの横線の追加も簡単に行うことができます。
追加方法は定数線の追加と同じで分析タブにて追加したい横線を選択すればOKです。

縦線の追加方法
次に縦線の追加方法を解説します。
縦線は特定の時点(イベント日や発売日など)を示す場合によく使われます。
説明例として、以下の売上データを使って商品発売日(2025/6/1)の縦線を追加した折れ線グラフを作成します
| 日付 | 売上 |
| 2025/4/1 | 850000 |
| 2025/5/1 | 920000 |
| 2025/6/1 | 1100000 |
| 2025/7/1 | 980000 |
| 2025/8/1 | 1250000 |
| 2025/9/1 | 1150000 |
まず日付データと売上データを用いて折れ線グラフを作成します。

次に分析タブを開き、「X軸の定数線」の中にある「行の追加」を選択します。

次に線を設定します。ここでは値に商品発売日の2025/6/1を入力します。
また、線の名前を「商品発売日」に変更してラベルを設定してみます。このようにするとイベントのタイミングがグラフ上で強調され変化を捉えやすくなります。

その他にも定数の線の色やスタイルなど様々なものが設定可能です。色々と試してみてください。
- 色:定数線の色
- スタイル:実線や破線など
- 位置:グラフの背面側か前面側か
- 網掛け:定数線の上側や下側を色付けするか
- ラベル:定数線にラベルを追加するか
以上で縦線の追加は完了です。
変数による動的設定(DAXメジャー)
次にDAXメジャーを使った変数を用いて線の値を動的設定する方法を紹介します。
この方法を用いるとデータが更新されたり、修正された場合でも自動的に値が再計算されるようになりメンテナンスの手間を省くことができます。
ここではグラフのデータを基にして目標値ラインが変わる設定をしてみます。
今までと同様のデータを用いて、目標線が「データ最大値の1.2倍の値」となる設定をしてみます。
| 日付 | 売上 |
| 2025/4/1 | 850000 |
| 2025/5/1 | 920000 |
| 2025/6/1 | 1100000 |
| 2025/7/1 | 980000 |
| 2025/8/1 | 1250000 |
| 2025/9/1 | 1150000 |
まず日付データと売上データを用いて折れ線グラフを作成します。

モデリングタブで「新しいメジャー」を選択します。

そして、データの最大値を1.2倍する計算式を入力します。
目標値 = MAX('SalesData'[売上])*1.2
次に分析タブを開き、「Y軸の定数線」の中にある「行の追加」を選択します。

定数線の値の動的設定をします。
値の入力欄の横にあるfxのマークを選択します。

定数線の値の設定画面で「基準にするフィールド」で先ほど作成した変数「目標値」を選択します。

これで定数線の値の動的設定は完了です。
売上データの過去の最大値が1250000のため1.2倍の1500000の値で定数線が引かれていることがわかります。

最後に線の色やスタイル、ラベルの有無などを設定します。
- 色:定数線の色
- スタイル:実線や破線など
- 幅:線の太さ
- 位置:グラフの背面側か前面側か
- 網掛け:定数線の上側や下側を色付けするか
- ラベル:定数線にラベルを追加するか

ドノこのように動的設定をしておくと、売上データが更新されればそれに合わせて定数線の値も自動で再計算されますので便利です
以上で変数による動的設定は完了です。
ユーザー操作による可変設定(パラメータ)
次は、ユーザー操作によって定数線の値を変更できる方法を紹介します。
それにはWhat-ifパラメータを用います。
この方法を使うと、ユーザーがスライサーを動かすと定数線の位置をリアルタイムに変えることができます。
それにより、例えば目標値を「100万円 → 120万円」に変更するとどうなるかといったシミュレーションが可能となります。
今までと同様のデータを用いて、目標線が0~200万の間で可変できる設定をしてみます。
| 日付 | 売上 |
| 2025/4/1 | 850000 |
| 2025/5/1 | 920000 |
| 2025/6/1 | 1100000 |
| 2025/7/1 | 980000 |
| 2025/8/1 | 1250000 |
| 2025/9/1 | 1150000 |
まず日付データと売上データを用いて折れ線グラフを作成します。


モデリングタブで「新しいパラメーター」で「数値範囲」を選択します。


パラメータの設定範囲で各項目を設定します。
ここでは目標値を0~200万の間で10000間隔で変更できるように設定します。デフォルトの値は100万。
- 名前:目標値
- 最小値:0
- 最大値:2000000
- 増分:10000
- 既定:1000000


項目を設定したら「作成」をクリックしてパラメータの作成は完了です。
次に分析タブを開き、「Y軸の定数線」の中にある「行の追加」を選択します。


定数線の値の動的設定をします。
値の入力欄の横にあるfxのマークを選択します。


定数線の値の設定画面で「基準にするフィールド」で先ほど作成したパラメータの値「目標値の値」を選択します。


これでパラメータを使った定数線の可変設定は完了です。
下図のようにパラメータに連動した定数線が追加されています。


問題なく動作するか確認してみます。80万, 100万, 120万と変更した結果は下記の通りです。
ちゃんと定数線の位置が変わっていることがわかります。









このようにユーザ操作により可変できるように設定しておくと、ユーザーでの検討やシミュレーションなどがやりやすくなり便利です。
以上でパラメータによる可変設定は完了です。
まとめ
今回はPowerBIでの定数線の使い方を紹介しました。
様々な設定方法を紹介しましたが、下記のように使い分けてみてください。
| 目的 | おすすめの方法 |
| 目標線・基準線を引きたい | 横線(Y軸定数線) |
| 特定の日付を強調したい | 縦線(X軸定数線) |
| 条件に応じて基準を変えたい | 変数による動的設定 |
| ユーザーが値を変えられるようにしたい | パラメーターによる可変設定 |
定数線や縦線をうまく使うと、グラフの「伝わりやすさ」が格段に上がります。
まずは分析ペインで試してみて、慣れてきたらDAXやパラメーターで動的設定にも挑戦してみてください!

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